お酒も食事も楽しめる空間

オリジナル料理と会話を楽しむ

渋谷さん 名鉄小牧線小牧口駅から徒歩一〇分のところにある「呑み喰い処 清盛」は、明るい笑顔で話し上手な渋谷侑希さん(二五)が営むお店です。今年の四月一〇日で一周年を迎えた「清盛」にはお客さんから送られたお祝いのお花がたくさん飾られていました。
 店内はカウンターと座敷があり、一人でのんびりとお酒を楽しみたい人はもちろん、家族や子ども連れで来店するお客さんも多くいます。料理は清盛のオリジナルばかり。オーダーが入ると、侑希さんがキッチンで手際よくサラダや揚げ物、焼鳥などを作っていきます。また、侑希さんが「想像したものと違うものが出てきますよ」と言う「こんにゃくステーキ」は、鉄板に卵が薄くしかれ、その上にゴロゴロと一口大のこんにゃくがのっています。とにかくボリューム満点で、マヨネーズと一味の味付けがお酒に合うとたいへん人気です。通常のメニューの他にも、店内のホワイトボードには、良い魚を仕入れた時にはお刺身や煮魚、侑希さんの得意な煮物などが書き出されます。お酒のシメには豚汁なども喜ばれています。
 予約時に料理のリクエストを伝えると応えてくれるため、宴会の団体客にも人気のお店です。

地域のつながりひろげて

 渋谷さん 以前、「清盛」を経営していた女性が侑希さんにお店を渡したいと言ったのは二年前のこと。一〇年以上続けていたお店の閉店を考えたとき、学生の頃から「清盛」でアルバイトをしていた侑希さんに声をかけたのでした。
 「一ヶ月くらいは悩みましたが、やりたいと決意して家族にも相談をしました。最初は反対していた父や夫も、侑希がやりたいのなら、と今ではとても協力してくれています」と笑顔で話します。
 新たに「清盛」がオープンしてからは、以前からの常連だったお客さんもたくさんみえ、新しく来てくれたお客さんは「ここの雰囲気が好き」と常連になってくれました。
 一年間で地域とのつながりがどんどん広がっていることを実感しているという侑希さんのお店には、他店のママさんから紹介されたお客さんがよく足を運んでくれます。「ご飯が美味しくてお酒が飲める店は他にもたくさんあるけれど、最後は店主のキャラよ、とベテランのママさんに言われているんです。なるほどなぁと感心します」と話します。開店一年、侑希さんの明るいキャラクターに惹かれて来店するお客も増えています。
 「料理が大好きで、お客さんとの会話も大好き。毎日とても楽しいです」と話す侑希さん。これからも地域の人々がほっとできるお店を続けていきます。

呑み喰い処 清盛
渋谷 侑希さん(25歳)
住所 小牧市常普請3丁目187
電話 0568-72-9572
   17時~24時 火曜定休


名古屋城木造化を考える
ー伊勢神宮「式年遷宮」から学ぶ2ー
第180回 井内尚樹の腕まくり指南

 前々回に続き、式年遷宮と名古屋城の木造化を考えます。式年遷宮の木材の調達に関わる森林管理の在り方、造替木材の再利用など。神宮の森から森林資源を活用することで森の保水力を再生させること。「森・川・海」をつなげて海洋資源の豊富化なり、自然災害への対応等を見ました。森林、木材に関わる産業を考える際、一〇〇年スパンで考える必要があります。「産業の一〇〇年視点」は他の産業を見る際にも重要です。
 大量に住宅を建設するために、木材を使い放題という考えは、大量の木材輸入になり、相手国の森林資源を枯渇させます。もとどおりに戻すには、何十年もかかります。木材の輸入ではなく、自国での森林資源の活用の在り方が問われます。
 目先の利益、日々の仕事をこなすのに精一杯な状況に振り回されるのではなく、長期的な視野なり、世界観が必要だとわかります。今回は、式年遷宮の宮大工などの職人の雇用、技能の継承について見てみたいと思います。

式年遷宮で雇用されている職人について

 二〇一三年に第六二回の式年遷宮が行われました。その年には、正宮の遷宮に一六〇名程度の職人が雇用されていました。二〇一四~一五年までは、別宮の遷宮に一六〇名の職人が雇用されます。二〇年目が式年遷宮ですから、一九年目から二二年目まで一六〇名が雇用されたことになります。
 前の式年遷宮から見ると、二〇一六年の遷宮三年目から一五年目までは、若手、優れた職人を三〇名残し、「摂社・末社の修繕・メンテナンス、造替」に従事するために雇用されます。この中核的な職人が技能の継承を支えています。一六年目以降雇用職人数を増加させていき、一九年目で一六〇名の雇用となり、二〇年目の式年遷宮をむかえます。
 木材の切り出しからはじまり、木材加工、実際の宮の建設まで、長期にわたり宮大工、様々な職種の職人の雇用が維持されていることがわかります。この式年遷宮の二〇年サイクルで職人は、人生で二回ないし三回の式年遷宮を経験することができます。私たちは、日本古来のこの式年遷宮の考え方に大いに学ぶ必要があります。

名古屋城の木造化よりも前に大切なこと

 式年遷宮の木造建築の技能の継承、職人の雇用の維持、一〇〇年スパンでの森林管理の在り方などを見てきました。単に「名古屋城を木造化するだけでいいのか」との疑問がでてきます。何よりも大切なのは、歴史遺産を大切にする文化、地域での雇用、技能の継承など名古屋経済の発展が重要です。名古屋城の建て替えには、市民の意見を聞くことが必要だと思います。
 私は、名古屋城の木造化より前に、式年遷宮方式で名古屋市内のいくつかの歴史的建造物を二〇年程度での造替する政策を提起します。式年遷宮方式での木造建築の技能、雇用が継承されます。伊勢神宮では内宮の柱は宇治橋の内側の鳥居に二〇年間転用されます。その後、三重県の「関の追分」の鳥居として二〇年間利用されます。これを見習うと、名古屋の歴史的建造物を造替された木材資源は、他の歴史的建造物、公共施設などの木材として再利用することが考えられます。

森林に関わる産業の発展を考える

森林資源も名古屋市と中山間地地域とのネットワークで、名古屋市が森林資源を持続可能的に確保していきます。歴史的建造物だけでなく、名古屋市民の木造建築材料にも適用可能となります。一回限りの木材調達=「名古屋城の木造化」ではなく、一〇〇年スパンでの持続可能な木材の調達の方が、市民にとっても、地域経済にとっても大切です。
 名古屋市民の水源として長野県木祖村とのつながりがあります。木曽川流域の森林資源管理と保水力の維持、間伐材の切り出しによる木質チップの持続的な生産の方向が考えられます。
 自然エネルギー、木質バイオマスの木質チップが重要としていますが、森林資源にとって、一番大切なことは、建築用の木材が適正価格で市民に提供され、この木造建築用の森林資源が一〇〇年スパンで持続的に確保されることです。最後の最後に、「あまりものの間伐材チップ」が熱エネルギーとして持続的に市民に提供されることです。
 式年遷宮方式は、「単なる造替」ではなく、地域での雇用、技能の継承、造替による木材資源の再利用、森林資源管理、自然災害の防止、市民の木造住宅政策、自然エネルギーの普及など地域経済の発展に対する波及効果は非常に大きなものがあります。一〇〇年スパンで森林資源クラスター産業を見ましたが、他の産業分野への応用がこれからの課題となります。