車いすに変形する自転車
命を救う自転車

車いすに変形する自転車  永山順二さんは東日本大震災の後、「災害時に近くの人から『助けて』と言われて本当に助けることができる方法はないだろうか」と考えました。被災地の状況を調べ、被災直後に困っている人を救うには、車より細い道に入って行ける自転車しかないと思いつき、三ヵ月の試行錯誤の末、救助自転車が誕生しました。
 永山さんのつくる救助自転車は、普段は一般の自転車と同様に使用できますが、もしもの時には、車いすに変身します。自転車の胴体半分を折り曲げ、「コ」の字にしてからイスを取り付け、ハンドルを背もたれの後ろに取り付けると完成です。工具をいっさい使わずに、女性や子どもでも二~三分で変形させることができます。
 ハンドルはそのまま車いすの持ち手とブレーキになり、ペダルは車いすを押す人の足かけに。サドルは肘掛けや背もたれになります。普通の車いすより軽く丈夫です。
 災害時に人を運べるだけでなく、重たい水や食料の運搬などにも使用でき、袋を取り付ければ仮設用トイレにもなります。災害時だけでなく、介護施設への送り迎え、徘徊した人を探すときなども車では難しい道へも自転車で行き、見つけたら車いすに変形させるなど、用途は無限に広がります。


永山 順二さん特許を取得 もしもに備えて
 「いつ何時『もしも』の事態が起こるかわかりません。いざと言うときに普段から使っている身近な自転車が役に立てばと思います」と話す永山さんは、救助自転車の開発をしてすぐに特許を取得しました。申請から認可が下りるまでに時間がかかると言われている特許ですが、永山さんの救助自転車はすぐに認可されました。現在は世界の特許であるWIPOを申請中です。「いつかはブレーキをオートロックでできるように改良したい。たくさん普及させて海外の人たちにも『メイドインジャパンはすごい』と思ってもらえるような商品にしていきたいです」とこれからの夢が広がります。
 永山さんの救助自転車は地域の新聞紙面やNHKのニュース番組で紹介されるなど、注目を集めています。自治体や医療機関にも普及してほしいという思いから、全国各地のイベントなどにも積極的に足を運んでいる永山さん。今後、永山さんの救助自転車が多くの人たちの助けになる日も近いかもしれません。

永伸重量 永山 順二さん(59歳) 住所 名古屋市西区新木町94-1 電話 052-509-7611 URL http://adiuvloworld.boo.jp/


第182回 腕まくり指南
高齢者に優しいまちづくりと横型中小業者施策ー平針地区アンケートからー

 七月に「社会フィールドワーク」を受講している学生が、名古屋市の平針南学区を中心に貴重なアンケートを取りました。名古屋市内の居住地域である平針地区において、高齢者の皆さんがどのような状況にあるのか。高齢者の生活の一端がよくわかるアンケートになっています。学生の努力を広く知ってもらう意味もこめて、アンケート結果の一部を紹介します。(アンケート結果全体を見られるようなサイトをつくりたいと考えています。)
 愛知県内の各地域で同様のアンケートを実施し、地域比較調査を行うことが必要だと思います。
平針地区アンケートの概要から ー「居住形態」、「住まいの形態」、「外出頻度」、「暮らしぶり」―
 今回学生は、平針南地区を中心に男性一一〇名、女性二四一名、不明五名、合計三五六名からアンケートを取りました。年齢別にみると、七五~八四歳が最も多く一三三人(三七・四%)、次いで六五~七四歳一〇八人(三〇・三%)、八五歳以上も三五人(九・八%)となっています。六五歳以上の高齢者数は二七六人(七七・五%)となっており、今回のアンケートが「高齢者を中心とした」アンケートになっていることがわかり、非常に重要なものだといえます。
「居住形態」を見ると「ひとり暮らし」が八五歳以上では二一人(六〇%)、七五~八四歳五三人(四〇・二%)、六五~七四歳二四人(二二・四%)となっています。「夫婦二人暮らし」は、七五~八四歳で五四人(四〇・九%)、この年齢層では、「ひとり暮らし」と「夫婦二人暮らし」は五三人、五四人と半々になっています。六五~七四歳を見ると「夫婦二人暮らし」は五六人(五二・三%)ひとり暮らしの二倍以上となっています。平針地区を見ると、七五歳以上くらいから「ひとり暮らし」の高齢者が増加していることがわかります。
 年齢別に「住まいの形態」を見ると、七五~八四歳では「公営賃貸住宅」六二人(四六・六%)、「一戸建て」五二人(三九・一%)、八五歳以上では「公営賃貸住宅」一七人(五〇%)、「一戸建て」一五人(四四・一%)となっており、一戸建てよりも、県営住宅に住む七五歳以上の高齢者の方々が多くなっています。六五~七四歳を見ると、「公営賃貸住宅」三三人(三〇・六%)、「一戸建て」四九人(四五・四%)、「分譲マンション」二一人(一九・四%)となっており、七五歳以上が県営住宅などの「公営賃貸住宅」に住む高齢者が多く、七四歳以下の年齢層では、県営住宅よりも「一戸建て」、「分譲マンション」、「民間賃貸住宅」などの割合が高くなっています。
 地下鉄平針駅が一九七八年に開業したのにともない、「何もなかった野原のような地域」にまず「県営平針住宅」が中心的に開発され、その周辺に「一戸建て」が建設されました。「県営住宅にひとり暮らし」の高齢者の多さは、地下鉄開業にともない、一九七〇年代後半から平針南地区に多くの住民が転居したと考えられます。  年齢別に「外出頻度」を見ると、八五歳以上では「ときどき週二~三回」が最も多く一五人(四四・一%)、「頻繁に週四・五回」が八人(二三・五%)、「ほぼ毎日週六・七回」が七人(二〇・六%)、七五~八四歳では「ほぼ毎日」四六人(三四・三%)、「頻繁に」と「ときどき」が同数で四〇人(三〇・三%)となっています。七四歳以下の年齢層を見ると、「ほぼ毎日」が徐々に増加しています。
 年齢別に暮らしぶりである「経済状態」を見ると、「普通である」との回答がどの年齢層も一番多くなっていますが、「やや余裕がない」、「余裕がない」との回答は七五~八四歳が一番多く四〇人(三〇・一%)、次いで六五~七四歳二二人(二〇・七%)となっています。対面式のアンケートの形式上、経済状態は答えたくないと考えられますが、六五歳以上の高齢者の暮らしぶりが余裕のないものになっていることが明らかとなりました。
平針地域の高齢者に中小業者はどうかかわっていくのか  六五歳以上の高齢者の「外出目的」で一番多いのは、「買い物」と答えています。ついで「公園・散歩」となっています。「移動手段」も「バス」、「徒歩」が多くなっています。高齢者の方々は「バス」、「徒歩」などで「ほぼ毎日」、「頻繁に」のペースで「買い物」に出かけています。
 買い物の「改善点」を聞くと、「野菜の出張販売(朝市など)」を希望している高齢者の方々が多くなっています。居住地域近くに、週に一,二度でもいいから朝市、野菜などの出張販売を中小業者の方々が行うことが求められています。名古屋市が平針地区の高齢者に優しい施策を行うことは「野菜の出張販売」などを行う中小業者を支援することだといえます。高齢者施策(健康福祉局)、中小業者支援(市民経済局)などの施策を縦割的にバラバラにするのではなく、高齢者施策=中小業者支援と統一的に横型施策(健康福祉と市民経済の施策を結合する)として把握することが大切です。