街のケーキ屋さん
笹ヶ根ロールがおすすめ

パティスリー レジュイールのケーキ  今年二月にオープンしたばかりの可愛らしいケーキ屋さんが守山区笹ヶ根にある「パティスリー レジュイール」です。天田望さん(三九)と香奈さん(三五)が夫婦で経営しています。長方形の真っ白なお店に入ると、ガラスのショーケースには色とりどりのケーキが並び、甘い香りに包まれます。タルトやショートケーキ、チーズケーキなどの他にライチや杏などを使ったオリジナルのケーキも並んでいます。バニラ味のババロアにしっとりとしたスポンジと酸味のきいた真っ赤なジャムをのせた「アンヌ」は見た目も可愛くおすすめのケーキです。また、香奈さんがお客さんに必ずおすすめするのはレジュイールのある守山の地名を入れた「笹ヶ根ロール」。ふわふわのスポンジで栗の甘露煮とコクのある生クリームを巻いたロールケーキです。たびたび期間限定のケーキも登場するので、何度でも足を運びたくなるお店です。
焼き菓子やデコレーションケーキも  小さい頃から「お菓子屋さんになりたい」と夢見ていた望さんは、大阪府の製菓専門学校を卒業後、大阪のホテルやケーキ屋などで一八年間修行をし、念願のお店をオープンさせました。お店に並ぶケーキはすべて望さんが作っています。こだわりを尋ねると、「こだわりはありません。ただ材料に良いものをというだけでなく、基本的なことを丁寧に作業することを心がけています」と望さん。オープンから約半年、リピーターも多くなり、大人から子どもまで愛されるレジュイールの人気は、望さんのこうした職人気質が支えているようです。
 レジュイールは誕生日などのデコレーションケーキもたいへん人気です。「最近は『お父さんへ』という方が増えていますよ。特別な日のケーキをここで作らせてもらえるのはとても嬉しいですね」と香奈さんは笑顔で話します。店内にはケーキ類の他に、マドレーヌやパウンドケーキ、クッキーなどの焼き菓子も数多く並んでいます。こちらも誕生日や母の日などには特別なラッピングのセットが登場し、プレゼントに最適だと喜ばれています。そんな特別な日や日常にも、レジュイールは甘い幸せを届け続けます。

天田 望さん、香奈さんPatisserieRejouir(パティスリー レジュイール)
天田 望さん、香奈さん
住 所 守山区笹ヶ根2―1514
電 話 052-725-8260
定休日 木曜(水曜日は不定休)



第183回 腕まくり指南
尾州産地の再生を考える
―毛織物をいかす「風合い」の視点から―

 旧尾西、一宮、木曽川町などの尾州地域は綿織物、絹織物の生産地として出発しました。他の三河、遠州地域などと同じように綿織物産地を形成していました。尾州地域が他の繊維産地と違うのは、綿・絹織物産地から毛織物産地へといち早く転換したことにあります。大正時代の頃には毛織物産地としての有名な地域になっていました。以降、尾州産地は日本で毛織物生産日本一を誇ってきました。
 現在、尾州毛織物産地は賃機業者、親機企業も激減しています。この傾向は、日本の繊維産地と同じです。京都の西陣を歩いてもほとんど機音を聞くことがありません。元賃機業者さんが「尾西の起町でも賃機は五〇軒あったが今では三軒しかない」といいます。尾州産地をどう再生するのか?まったなしの課題であり、今回はこの問題を考えたいと思います。
尾州産地における毛織物生産の生き残り業者
 昭和初期頃のションヘル織機を使い続けている業者が尾州毛織物産地で生き残っている傾向にあります。ションヘル織機はドイツのションヘル社が生産していましたが、日本では、碧南市の平岩鉄工所がイギリスのジョージホジソン織機、ドイツの織機を輸入し、機械を解体、研究しながら日本人の体型に合う形に作りかえられました。こうして平岩式の毛織物織機が普及しました。
 手機に動力をつけた簡単な構造になっており、簡単な構造であるがゆえに、生産者が様々な工夫をこらすことができます。そして何より横糸のシャトルが低速な織機だとういうことです。ションヘル織機が低速なので、「一日一〇数m、高密度だと八mくらいしか織れないと」業者は言います。
 縦糸の引っ張りを緩くし、横糸をゆっくりと職人の手のようにシャトルで飛ばし、織物を傷めないようにゆっくりと織りあげていきます。「手触りが柔らかく膨らみ、収縮力があり、しなやかで弾性回復率が良く、その『風合い』の良さ」(葛利毛織パンフより)が生地のよさそのものです。
 昭和二〇年代頃のションヘル織機を使い、「風合い」にこだわっている業者が生き残っているのです。
繊維機械は何を目指してきたのか―「生産性」か「風合い」どちらを選ぶのか―
 昔ながらの織機が尾州産地で生き残っていることの意味について考えたいと思います。日本の機械メーカーは何を追及するのかといえば、精度が完璧、短時間で生産性をあげることができる。機械には生産性と精度が求められます。
 繊維機械であれば、生産性をあげるために横糸をいかに早く飛ばすのかが問題となります。シャトルからウォータージェット、エアージェットなど、織物生産に「高速」を絶えず求めることになります。
 高速を求めることが本来の毛織物の良さを引き出すことになるのでしょうか?高速を求める日本の繊維機械メーカーの方向が毛織物にとってよかったのかどうか、ポリエステルなど化学繊維とウールなど自然繊維とを同様に扱ってこなかったのか。毛織物の本来の素材(羊、アルパカなど)をいかすには「風合い」が最も重要ではなかったのか。
 生産性をあげること、精度をあげることは日本の機械メーカーが戦後一貫して追求してきたものであり、「生産性」か「風合い」の問題は、「量」を追及してきた日本資本主義の「質」そのものに関わる問題と言えます。
一周遅れのトップランナーから学ぶもの
 「風合い」にこだわる業者が尾州産地で生き残っている理由だと考えますが、なぜ低速のションヘル織機にこだわったのかが問題となります。「高速の機械に設備投資をする金がなかった」、「新しい織機を買う金がなかった」ので、「ションヘル織機のままできただけ」との意見を聞きました。事業戦略として低速のションヘル織機にこだわったのではなく、お金がなかったのでションヘル織機のままできたのが正解のようです。
 世間は高速にこだわり、生産性をあげることに必死なので、賃機業者も生産性をあげれば収入増になるとの考えから、生産性しか見なくなります。世間が生産性に巻き込まれているなか、低速にこだわってきた毛織物本来のよさを追及する業者の一群が評価される時代になってきました。自分は変わっていないのに、世間のほうが「風合い」を評価するようになりました。業者の皆さん、世間に追随するだけでなく、本来の良さとは何なのかなど、自らの価値について考え直すことが重要です。