至極の一杯 珈琲専門店

 珈琲だけの店びぎん。その名の通り、珈琲だけを提供しているお店が地下鉄・栄駅から三越方面へ徒歩三分ほどのところにあります。大型百貨店や高層ビルが連なる都会の一角、珈琲の香りが店に入る前から漂います。
 店内にはこげ茶色のカウンター。メニューからひとつ珈琲を選ぶと、その場で豆をミル機へ。一層香りが引き立ちます。
 「珈琲の味の基本は苦味」と話すのは、オーナーの加藤隆さん(六七)。珈琲に魅せられ、珈琲専門店をオープンさせて四六年になります。  「びぎん」にはホットからアイスまでなんと十六種類もの珈琲がそろっています。完全オリジナルのブレンド珈琲は、珈琲の苦みや旨みを最大限に引き出した炒り方・挽き方で提供。また、アイス珈琲は、淹れたての珈琲を珈琲の氷に通して冷やすことで、芳醇な香りとさっぱりとしながらも深い味わいが楽しめます。
 「びぎんの珈琲を自宅でも楽しみたい」というお客さんのために、九種類の珈琲豆を販売しています。また、店内でも楽しめるカフェ・オ・レ専用に作られた「琥珀の雫」は、氷水を使い六時間かけてドリップされます。通常の珈琲の三倍の濃度にもかかわらず、甘みの強い珈琲エキスです。「琥珀の雫をアイスクリームにかけて食べると絶品なの」と妻・慶子さん。
 「びぎん」は落ち着いた店内で、珈琲一杯一杯と向き合う時間を提供しています。
 父から子へ味を守りつづけ
 「びぎん」は昭和二十六年に、隆さんの父親が栄・丸善の前で屋台からスタートさせました。お酒や軽食も提供していた店から、珈琲のみの店に変わったのは隆さんが引き継いだ昭和四十九年のこと。
 「命をかけて珈琲に向き合った一人の男性に感銘を受けたんです」と隆さんは話します。隆さんが「珈琲に命をかけた男」、標交紀(しめぎゆきとし)さんに出会ったのは大学生のとき。知り合いの雑誌編集者と珈琲の勉強をしに東京に行った際、吉祥寺の珈琲専門店「もか」に客として来店したときでした。「もか」は当時では珍しい自家焙煎の珈琲専門店。珈琲の産地を追い求めて危険な思いもしながらイエメンへ行くほど、珈琲を愛し、情熱を注いだ標さん。そんな標さんの珈琲に強く魅かれた隆さんは、標さんの「あなたは名古屋で珈琲が味わえる店を出してください」という言葉通り、珈琲だけを味わえる専門店をはじめました。
  「びぎん」は現在、息子夫婦の壮風さん、睦子さんが店に立ちはじめています。四十年以上続く、深い深い珈琲を味わいに、ぜひご来店ください。

珈琲だけの店 びぎん
加藤隆さん、慶子さん、壮風さん、睦子さん
住  所 名古屋市中区栄三丁目4-26
営業時間 9:30~19:00
定 休 日 日曜日




 井内尚樹の腕まくり指南
第199回 リニア実験線跡地利用とピーチライナー後処理を考えるー「無駄な」公共事業のあり方を考えるー2ー
日本経済の先が見えない問題はどこにあるのかー「脱炭素」と「低炭素」の分岐点ー
 日本経済を持続可能にするには、とりわけ給与を増加させ、医療、福祉、教育などの制度を充実させることです。アベノミクスによる「三本の矢」でよくなったのは大企業、富裕層で、多くの中小業者、労働者は生活が悪化しています。「安倍政権が進める日本経済の方向は間違い」だといえますが、どのような方向に進めばよいのでしょうか。  二〇二〇年以降の地球温暖防止の新たな国際ルールであるパリ協定(COP21)を手がかりにします。この協定で注目すべきは「十九世紀の産業革命前からの地球の気温上昇を二℃より低く保ち一・五℃以下に抑える努力をすること。そのために、二一世紀の後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにする」としたことです。この「二℃以下」ということは「ほとんどの化石燃料を燃やすことができなくなる」と指摘する意見もでています。今回はパリ協定と日本経済の進むべき道について考えたいと思います。 日本経済の先行きの不透明さ

ー「脱炭素」かそれとも「低炭素」かー
 図を見ると、二〇一四年に政府は「二〇三〇年のエネルギー見通し」を石炭二六%、原子力二〇~二二%、再生可能エネルギー二二~二四%、石油三%、LNG二七%と決めました。この計画を推進するために日本の電力会社は、古い石炭火力発電所からCO2 を低減化する高効率の石炭火力発電所の国内での建設と海外への設備の輸出を推進するとしました。国内では四〇件以上もの石炭火力発電所の新設建設計画がでています。  この計画に対して、パリ協定を推進する世界各国ならびに地方自治体、企業から日本に対する批判がありました。日本企業は高効率の石炭発電でCO2 が削減できる(=「低炭素」)からいいと考えていますが、世界は「CO2を出さない(=「脱炭素」)」ほうがいいと言っています。  ここに日本と世界との方向性の違いが明瞭にでています。「低炭素」を掲げるのかそれとも「脱炭素」を掲げるのかです。ここでの「低」と「脱」の違いは、低炭素は「CO2を現在より低くする」ことであり、「脱炭素」は文字通り、「CO2の排出をゼロに近づける」ことです。
「脱炭素」と「低炭素」の二重経済システム(デュアルシステム)ー携帯電話での失敗からー
 かつて日本には全国に通信網が構築され一家に一台の電話があり、各家庭から全国に通話ができました。いわゆる電話線網で繋がれているワイヤの時代です。電線でつながっていないワイヤレスの通信機器である携帯電話が、その次に登場しました。はじめは自動車電話など非常に高価で大きかったのですが、今は手のひらに収まるほど小さくなりました。発展途上国ではワイヤ時代を飛び越し、いきなりワイヤレスになりました。現在、携帯電話はインターネットと結びつきスマートフォンに進化しています。
 ワイヤとワイヤレスの両方を組み込む経済システムとワイヤレスだけで走るシステムでは、どちらが効率的でしょうか。二〇一六年のスマホ製造ランキング世界上位一〇社に日本はなく、韓国サムソン、アメリカアップル、中国ファーウェイなどです。アップルはワイヤレスだけであることを見れば、固定電話とスマホの両方を生産することの不効率が見えてきます。
 日本で大量に普及しているHV自動車もガソリンと電気の両方で走るエンジンシステムです。今のトヨタ自動車のプリウスの燃費はガソリン1¥外字(93ac)で四〇キロ以上走ります。まさに「低炭素」の方向そのものです。しかし低速の際、電気だけで走ります。これは「脱炭素」そのものです。HVエンジンは「低炭素」と「脱炭素」のデュアルシステム(二重)を抱えたまま走っています。
 これではワイヤとワイヤレスの二重システムと同じで、一台の車でデュアルシステムを担っていることになります。私自身プリウスに乗っており、電気だけで走る部分とか、ガソリン消費量は前の車に比べて大幅に減少しており、HVエンジンは経済的だと思ってきました。しかし、「低炭素」と「脱炭素」の視点で見ると、二重システムであり、電気自動車(日産リーフ、テスラ自動車など)の「脱炭素」の電気モーターエンジンシステムだけで走れるようになると、ガソリンエンジンを備えている二重システムのHVは随分と不効率に見えます。

今こそ「脱炭素」社会の日本経済ビジョンを提示する必要性
 現在、政府、経産省は「低炭素」と「脱炭素」を同列に並べ両方の政策メニューを提出しています。太陽光発電などの再生可能エネルギーの推進と高効率石炭火力発電所の建設など両方を推進する政策です。「脱炭素」社会に向けて、デュアルシステムではない新しい経済ビジョンを国は国民に対して示す必要がありそうです。