オリジナル珈琲 ランチも人気のカフェ

食事とショッピングが楽しめる
 JR半田駅のすぐそばに「Cafe&BoutiqueGLENCOE」(グレンコー)があります。煉瓦と暖かなクリーム色のお店。扉を開けると、アンティーク調の家具や雑貨が並ぶ店内へ。オーナーの加藤順子さん(六九)が出迎えてくれます。
 グレンコーで人気の日替わりランチは、魚と肉から選べます。毎日食べにみえる方もいることから、飽きないようにとバリエーションも豊富。特に地域の魚屋さんから仕入れた新鮮な魚介類を使用した料理がお客さんに喜ばれています。また、手づくりケーキも優しい甘さが口に広がり、珈琲のおともにたいへん人気です。
 一階のカフェスペースから二階へあがると、衣料品・雑貨売り場があり、流行のコーディネートを纏ったマネキンや作家さんの雑貨などが展示・販売されています。カフェを利用しながら、ちょっと立ちあがって可愛らしい雑貨や洋服を見に行く――そんなお客さんが多くみられました。一階のカフェスペースには五十年来のグランドピアノが置かれ、年に数回ほど行われるコンサートで深みのある音を店内に響かせます。
 「グレンコーのコンセプトは、“食・衣・旅”なんです」と話す順子さん。三十代後半からの女性が多く訪れることから、お客さんに興味をもたれるような食事や衣服、旅をしているような空間を日々届けています。

変わらないものを大切に
 順子さんは、名鉄知多半田駅の近くで五十年以上続く家具屋へ嫁ぎ、夫とともに家業に専念していました。しかし、都市開発の波が店周辺に押し寄せ、移転を余儀なくされたのです。「将来、家具屋を続けていくことは難しい」と考えた順子さんは、大好きな珈琲が飲めるカフェを十五年前にオープンさせました。「納得のいくものを作るために、何度も業者さんと調整を繰り返しました」と話すほど、オリジナルブレンドの珈琲にこだわっています。大井から来た常連の女性客は、「家からは遠いけれど、美味しい珈琲が飲みたいと思うと、結局グレンコーさんにきちゃうの」と太鼓判を押します。美しいコーヒーカップを傾けると、豊かな香りが広がります。
 現在、JR半田駅周辺にも再開発の波がきています。街の雰囲気は日々、変わっていきます。
 「古い建物や歴史を大切にしている街が好きで、お店の名前も“グレンコー”(イギリスの街)と名付けました。若い従業員の意見を取り入れながら、変わらないものも大切に。ここに来れば、誰かに会える――そんなお店づくりをしていきたいです」と話します。


Cafe&Boutique GLENCOE(グレンコー)
加藤 順子さん(右)

住  所 半田市北末広町113-7
電  話 0569-22-5337
営業時間 8:00~17:00
定 休 日 水曜日・第2火曜日




 井内尚樹の腕まくり指南
第200回 中小企業のものづくりと技術開発などの支援機関についてードイツ調査からー

 中小業者がネットワークを組んで新しいものづくりを行う際、産学連携は非常に重要となります。全国商工交流集会の「新製品開発」の分科会では高等専門学校の研究者などが助言者を務めています。中小企業経営者に「大学などに気軽に技術開発の相談などに行けますか」と聞くと、かなりハードルが高そうに感じます。
 地方自治体の試験研究機関を見ると、愛知県ではあいち産業科学技術総合センターがあり、刈谷市に産業技術センターがあり、センター内に常滑、三河、瀬戸窯業試験場が配置され、その他に食品工業技術センター、尾張繊維技術センター、三河繊維技術センターがあります。愛知県の公設試験場は陶磁器産業、繊維産業に重点を置いていることがわかります。名古屋市には、名古屋市工業試験場があります。「公設試」は中小企業の技術相談、技術開発・製品分析などを行う身近な存在相手といえます。
 この公設試験場をめぐって、先行的に岩手県、鳥取県、大阪市、山口県、青森県、北海道、大阪府などの地方自治体が地方独立行政法人(自治体民営化の一形態)として組織変更を行っており、中小企業から遠い存在になりつつあります。公設試験場だけでなく、地方自治体の公的病院の地方独立行政法人化により、患者負担の増大なども問題となっています。
 日本では、中小企業と国立研究機関、大学などとの産学連携の遠さ、「公設試」が遠くなっていますが、ドイツでは中小企業の身近な存在として、国家的な研究機関があります。この研究機関の存在がドイツの中小企業の活躍と結びついており、今回調査に行きました。
ドイツの中小企業を支援する研究所 ―フラウンホーファー研究機構―
 今回カッセルにある再生可能エネルギーをテーマに掲げているフラウンホーファー(研究員五八名)で話を聞くことができました。「フラウンホーファー研究機構は、一九四九年に実用化のための研究を担う研究機関として設立され民間企業や公共機関向け、また社会全体の利益を目的として、実用的な応用研究を行っています。この研究機構はドイツ国内に七二の研究所を構え、約二五〇〇〇名の研究員がいます。ドイツには公的研究機関として、基礎科学を行うマックス・プランク協会、大型研究施設を擁し基礎科学から応用研究の橋渡しを行うヘルムホルツ協会、ライプニッツ学術連合があります。フラウンホーファーは最も実用化に近い応用研究を行っています。このため、企業などからの委託研究、企業への技術サービスの提供などが特徴」です。
 国の研究機関とは、「基礎研究」とか、中小企業から非常に遠いものだと私は思っていましたが、「ここでの研究は実用的な応用研究が中心」との言葉が非常に印象的でした。中小企業の要求に応じて、大学などの基礎研究分野からヒントを得て、市場で販売できる実用的な応用研究を共同で行っています。中小企業の実用的な応用研究として、コンバーターのスイッチ部分の部品改良を技術開発だけでなく、デザイン、経済性などを総合的に研究した上で開発した事例などを聞くことができました。
 「実用的な応用研究」の次のキーワードは「経済性」でした。単にスイッチ部品の「技術開発だけでなく、デザイン性、コストが確実に削減され、市場で売れるものになるのかまで」総合的にスタッフがチームとして機能していることです。「技術開発だけではなく、市場で売れるのか?」の評価まで行っている点がすごいと思いました。
日本の中小企業の技術支援についての示唆
 この研究機構の話を聞いて、私が大切だと思ったことを指摘します。第一に、ドイツでは国家的研究施策として、大学などでの学術的な基礎的研究、大企業との先端的な研究等だけではなく、中小企業が考えた技術開発が市場で機能するために「実用的な応用研究」も大切にしていることです。ノーベル賞級の研究だけではなく、中小企業のための応用研究も研究者の研究として重要視しています。日本社会ではとかくノーベル賞級の最先端研究を行う研究者が評価されますが、社会全体が応用研究を行う研究者も評価している国です。第二に、技術開発依頼に対して技術だけで応えるのではなく、市場での経済性までも追求している点です。経済性まで含めると単なる技術開発ではなく、デザイン、市場評価などコンサルタント的な力量も必要となり、開発プロジェクトが総合的なチームとして機能しています。今回は調査できませんでしたが、小規模企業に対する産学連携組織としてシュタインバイス財団があると聞きました。ドイツ中小企業の活躍の秘密をもっと研究する必要性を感じています。