『長年営み信頼される職人業』

 長久手市の住宅と工場が入り組む、杁ヶ池公園の近くに「浜田自動車」は工場を構えています。
 長久手市は最近若い経営者が多く進出している地域ですが、浜田自動車は三五年間、この場所で自動車の板金塗装業を営んでいます。
 取材当日も工場の前には三台ほど車が並んでおり、工場内へ入ると社長の浜田昭世さん(七一)が作業の手を止め出迎えてくれました。
 工場に入りすぐ目に入ってきたのは、大きな赤い塗装用ブース。周りを見ると他にも大きな専用機械があり、壁際や作業台には種類豊富な塗料や様々な工具が置いてあります。
 浜田自動車は、社長の昭世さんと息子の武則さん(三八)が親子で経営しています。
 浜田さんが開業したのは、二六歳のとき。一〇年間勤めていた板金会社から、独立を決意したのがきっかけでした。始め、一時は従業員を雇っていた時代もありました。主な仕事は地域のディーラーや、保険屋からの請負で事故車の板金補修を行うことです。作業の前には自動車の凹んだ部分を見て、「さぁ、今からどう料理しようかと考えるんだ」と昭世さん。
 「カーブをどう出すか、料理をする時のように頭の中で手順や方法を考えることが大事なんだ」と補修の難しさと繊細さを教えてくれました。保険屋からの請負は点数が決まっていますが、絶対と言っていいほど点数通りには納まらないと苦労を語ります。
 また、長年この業界で仕事をしながらも未だに難しいと感じるのは、板金の「色合わせ」。塗料も国産と外国産で色合いに違いがあり、塗料を使い分け、色を足すなどの試行錯誤を繰り返しているそうです。
 苦労しながらも決して手を抜かず、高い技術で長年真摯に仕事を続けてきた事での信頼は厚く、時折フェラーリやランボルギーニといった高級外車の仕事も「浜田自動車なら」と頼まれます。
 その信頼に応え、さらにいい仕事をするために一千万円するヨーロッパ製の塗装用ブースも購入するなど、仕事に妥協しません。

【自動車の未来を見据えて】
 最近ニュースで見る機会の多くなった「自動ブレーキ」や「自動運転」で事故が減るという話題について「事故が減るのはいい事だと思うが、その分、板金の仕事が無くなっていくんだ」と悩みも語ってくれました。
 そんな社会の流れに対し、息子の武則さんが考えたのはヴィンテージ車のレストア(修復)。技術力を活かし、すでに生産されなくなった部品は自作する事もあると言います。
 お客さんの「好きな自動車を大切に乗りたい」という思いに応えながら仕事の幅を広げています。
 最近の車事情にも目を光らせながら、親子で「高い技術を守りながら、お客さんの信頼にこれからも応えてやっていきます」と話していました。

浜田自動車
浜田 昭世 さん

住 所 長久手市菖蒲池1601番地
電 話 0561-62-9069
長年の信頼、技術を息子に継承




 井内尚樹の腕まくり指南第202回
 今、日本でドイツ、オーストリアなどにあるシュタットベルケ(地方自治体公社)が注目されています。シュタットベルケは自然エネルギーの地域供給だけでなく、上下水道、ガス、公共交通、ごみ処理など地方自治体のインフラ事業も行っています。ドイツには約1400のシュタットベルケがありそのうちの約900でエネルギー生産を行っています。
 シュタットベルケはエネルギー(自然エネルギーだけでなく、石炭発電所などの出資事例もあり)供給し、自然エネルギーを生産し、地域住民を利用者として囲い込み、収益をあげています。収益を住民の生活向上、地域問題の解決に回しています。例えば、赤字路線バスへの負担など、利益の上がりにくい部門へ自然エネルギーの収益を還元し、住民の暮らしに役立てています。さらにシュタットベルケは地域雇用の場として役割を発揮しています。ドイツを手本にしたシュタットベルケを日本の多くの地方自治体が作ろうとしており、福岡県みやま市が有名です。
 今回はドイツのシュタットベルケがエネルギーに限らず、広範なインフラ分野を担っていることを踏まえる必要性について考えたいと思います。なぜなら、本来シュタットベルケが担うべきインフラ事業を日本では民間企業の金儲け手段に転化させているからです。

【上下水道局の民営化問題について】
 今国会で水道法の一部改正案が通る予定です。上下水道事業は地方公営事業として長く存在してきました。
 人口減少・高齢化の影響で、今後の「水需要減少」は明らかです。2016年の水道普及率は97・9%で、水道事業は「建設・拡張」の時代から「維持・メンテナンス管理」の時代に移行しています。高度経済成長期に設置された水道施設などの「老朽化」の更新費用が地方自治体の財政問題に影響を与えています。水需要の減少、水道施設の老朽化、維持・メンテナンス管理などの問題解決を国は水道事業の「官民連携」、「広域連携」による民営化で乗り切ろうとしています。官民連携とは民営化であり、広域連携とは、都道府県が推進・まとめ役となって再編計画を作成することです。名古屋市、愛知県の動きに注視する必要があります。
 指定管理、PFI事業など自治体への民間委託は以前よりあり、水道事業の一部民営化もすでに実施されています。浄水場管理を外国資本であるフランスの大手水道会社であるヴェオリア・ジャパンに委託した松山市が有名です。外資の関係では、「中国資本などが日本の水を目当てに山を買い占める」といったニュースも話題となりました。
 従来の民営化と今回の水道法の改正は根本的に違っています。従来の一部業務の民営化ではなく、水道事業の経営など全業務を民間事業者に任せる方式となっています。
【「コンセッション」方式について】
 今回の民営化の有効な方法として提起されているのが「コンセッション」方式です。簡単にいうと、高速道路、上下水道事業などの料金徴収を伴う公共施設などについて、施設の所有権を公共機関に置いたまま、民間事業者に管理運営を任せることです。水道利用者から利用料金を直接受け取り、管理運営に関する費用に使います。自らが事業を行うので、収入と費用に対する責任を持っており、ある程度自由に経営を行うことができます。
 収入増加(自治体を連合化し水道事業広域化)、効率化による費用削減(大規模化によるリストラ、コスト削減など)で利益を向上させられます。他方、営利目的の事業のため「安全な水を安定供給する」という公共性が高い事業と、相いれない面もあります。収益を上げるために水道料金の引き上げ、リストラ、非正規化などでサービス低下なども考えられます。
 地域住民の生活向上のための地域資源として上下水道を見る。
 公共施設・事業などの民営化批判として「利用料の上昇、サービスの低下など」の指摘があります。もっとも意見ですが、それだけで将来が明るいでしょうか。水道事業の民営化が進んでいるフランスにおいて、水道水は硬水すぎて飲めない地域が多いのが現状で、飲料水はスーパーで買うものです。木曽川の水は軟水で飲料水として飲めます。地域資源としての上水道はフランスと日本では違うのです。下水道に流されている下水汚泥には住民糞尿が大量に含まれおり、自然バイオマスエネルギーとして地域資源として利用可能なものです。これを民間事業者にタダで渡すのか、シュタットベルケで地域資源として利活用し、住民の生活向上に使うのかが問われています。


 日本的シュタットベルケと上下水道局の民営化問題を考えるー その1 ー