『新車の輝きを保つ磨きの技術』

   今年で開業から二五年になる、「カービューティープロパーフェクト」は犬山駅東口から車で五分ほどの所に工場を構えています。
 工場前には、汚れ落としの洗車をしている車や、作業途中の車があり、工場に入ると、社長の林さん(五四)が出迎えてくれました。
 林さんは、擦り傷の磨き、コーティング加工を行う「カーディティーリング業」を営んでいます。
 開業当時から現在まで、磨き屋を専門にやっている所は珍しく、「昔、磨き屋は職業として認められていなくて、僕が先輩の店へ電話しようと思った時も、電話帳のお店欄に番号が載ってなくて、個人宅の方に載ってたから」と、話してくれました。
 工場の壁には、工具やコーティング用の研磨機が並び、洗車に使う洗剤もたくさんの種類があり、汚れの種類によって、アルカリ性洗剤や酸性洗剤などを使い分けます。
 磨きに使う「バフ」といわれるスポンジも、羊毛で出来た柔らかい材質の「ウールバフ」と、目が細かく車に付いた傷を目立たなくさせるための「スポンジバフ」など、磨き用の道具も使い分けています。
 丁寧な仕事と、他よりも安く高品質なサービスで、開業当初からのお客さんも多いそうです。

【運命的な出会いを機に開業】
 林さんがこの仕事を始めたきっかけは二九歳の時、元々人生の目標として、三〇歳の時には独立をしたいと考えていた林さん、偶然開いた雑誌の見開きに載っていた、『カービューティープロスクール生募集』の記事を見て、「コレだ!」と応募し、目標通り開業しました。
 磨きの他にも、仕事の幅を広げるため独学で、車の窓ガラスに紫外線カットなどのフィルムを貼る技術も身に付けたり、アメリカから入ってくる技術も学び、お客さんからの質問に答えられるようにしてきました。
 「色々な技術が発達して、スマホがカーナビ代わりになってナビが売れなくなったという話も聞く。しかし、磨き屋は塗装なしでサビが来ないものが車の素材に使われない限り仕事はなくならないと思う」とも話しながら、「技術が発展するのはいい事だとは思うけど、つくる側が職を失うようなことがあったら意味がない。電気自動車は普通の車の三分の一のパーツで出来上がってしまうからね」と、「作る側と使う側」の視点の違いを教えてくれました。
 自分の仕事に関わる時代の流れもしっかりと把握している林さんに、今後の仕事の展望を聞くと、「スキマ産業だったディティーリングを、最近はカーディーラーもやり始めた。維持費や作業の大変さから、新車しかやらないのがカーディーラーなので中古車の方は任せてください。それに、お客さんから『ありがとう』と言って貰えるのは医者と磨き屋しかいないと自負してるので、このまま最後までこの仕事を続けていきたいと思っています」と笑顔で語っていました。
CAR BEAUTY PRO(カービューティープロパーフェクト)
林 龍春さん  住 所 犬山市梅坪2丁目48番地
 電 話 0568-61-6627 FAX 0568-65-0930
 URL:http://www.perfect-1.com/


 『Dr.inouchi 井内尚樹のシリーズ腕まくり指南 第205回市町村単位で産業連関を調査する必要性ー下川町を事例にー』
 地域経済循環のなかで、とりわけ、地域外購入による、「もれバケツ」状態を問題としました。地域経済循環には様々な循環があります。第一に、石油、鉄鉱石などを中東、オーストリアなどから輸入し、愛知県で自動車を生産し、アメリカに海外に輸出するような場合がグローバル経済循環です。第二に、日本国内にある原料である、木材、農産物などから生産加工され、日本国内で消費されるものが、ナショナル(国内)経済循環です。第三には、地域内で生産、販売され、地域内で消費されるローカル循環があります。その他には、グローバルとナショナルを組み合わせた循環、ナショナルとローカルを組み合わせた循環など様々な経済循環があります。
 地域経済のもれなど、ローカルな循環だけを重要視しているわけではありません。自動車を生産するため、化石資源である石油、石炭などもグローバル循環として重要です。グローバル循環だけだと地域で残る資金などが非常に少なくなります。中東から石油を購入で支払いは海外に、そして販売先がアメリカだと、海外からの資金が手に入りますが、大部分は東京本社の大企業に循環します。ローカル循環を二,三回転させると地域内の中小企業に資金が循環します。グローバル循環だけでなく、ローカル循環の割合を大きくする地域経済の考え方が必要です。
【市町村単位で産業連関をすすめる下川町を事例に】
 北海道の北東部に位置している下川町は、東京二三区とほぼ同じ面積であり、人口は約三五〇〇人の町です。町の面積の九割が森林面積となっています。地域資源として森林自然の利活用が考えられます。下川町は、一九五三年に国有林を一二二一ha取得し、一九五六年に財政再建団体になりますが、一九九四年から二〇〇三年にかけて国有林を取得しています。植林は半世紀続けており、町有林管理面積は四五八三ha(人工林二九八五ha、天然林一五九八ha)です。国有林を厳しい町財政のなかで、取得してきたことが特徴といえます。下川町は植林―育成―伐採と循環型森林経営を基盤にし、土木、建築関係の木材の生産だけでなく、木質チップなどのバイオマスエネルギー燃料も生産している地域です。
 二〇〇四年に五味温泉にバイオマスボイラを導入し、二〇〇五年には幼児センターにバイオマスボイラを導入しています。役場、福祉施設、病院など大量に熱エネルギーを必要とする施設に木質バイオマスボイラを設置し、平行して、バイオマス燃料=木質チップ生産する施設も整備しました。小規模分散型熱供給システムを構築している地域だといえます。CO2の削減ならびに、二〇一三年では、バイオマスボイラの経費削減効果は一七〇〇万円ありました。これらの経費削減効果は下川町独自の子育て支援になりました。子育て支援の例をあげると給食費の削減、保育料の軽減、中学生までの医療費無料、不妊治療費の支給、二歳になるまで年間三六〇〇〇円支給などです。
 そして、下川町は独自で産業連関表を作成しました。これは「環境・地域経済両立型の内生的地域格差是正と地域雇用創出、そのほかの施策実施に関する研究」二〇一二年三月、岡山大学、南山大学、高知大学、エックス都市研究所などとの共同研究によるものです。
 この報告書によると、投入・産出構造を見ると、域内生産額は二一五億四五〇〇万円、下川町内で産業の生産活動を行うために使用した原材料費九八億円、粗付加価値額は一一七億円となります。移輸出七四億円、移輸入一二六億円で差し引き、五二億円域際収支(域際収支の赤字額)となります。各産業生産額・域際収支の表をみると、農業一七億八七〇〇万円、製材・木製品が二三億一七〇〇万円の黒字となっています。域際収支の赤字は、石油等製品七億四五〇〇万円、電力五億二二〇〇万円となっています。「その他」が七六億九〇〇〇万円の赤字となっているのは、下川町での産業連関表の調査が林業者、農業者、畜産業者向けを中心に行われたからです。
 下川町では、「石油・石炭製品」と「電力」という熱、電気、動力などのエネルギーの一二億七〇〇〇万円の地域外への「もれ」対策の実施です。三五〇〇人の町で、産業連関表により、一般的な数字ではなく、具体的に「エネルギーもれ代金」が一二億円あるという「見える化」が重要です。
 下川町は戦後一貫して、森林資源の利活用を進め、建築材、製材だけでなく木質バイオマス熱供給を進めてきました。この施策をさらに進めるために、産業連関分析を行いました。具体的に数字で「エネルギーのもれ」を把握し、地域熱電併用の木質バイオマスシステムに発展させています。皆さんの市町村でも産業連関分析を行う必要があり、まず既存のRESASなどで地域を分析することです。