歴史を重ね 仏様を彫る 十代で弟子入り

 

教室も開講
   津島駅から一キロほどの愛宕町に仏師・安達憲照さん(五七)の「仏像彫刻工房 飛翔」はあります。木の匂いに包まれた工房の中に入ると、材料の木材、その木材を彫るための刃物がざっと二〇種類三〇〇本以上入った棚がずらりと並びます。
 祖父が仏師をしていたため、世襲制の強く残る当時、生まれた時から後継ぎだと言われ育った安達さん。一九歳で長久手にある「江場佛像彫刻所」の大佛師・江場琳黌(えばりんこう)氏に弟子入りし、住み込みで師匠の家族と寝食をともにしながら技術を学びました。
 その後、平成元年に独立。現在は個人、寺、仏具店などから注文を受けた仏像の製作・修復を行なっています。
拝んだ人の気持ちが入る仏様
 また津島市内で二ヶ所、名古屋市内で一ヶ所の教室を開講しており、二〇名程の生徒に、仏像彫刻を教えています。
 教室では、先ずは紋様を彫って刃物に慣れることから始め、その後、手、足、顔、と彫っていきます。「人によってペースは違いますが、長くやるほど上達しますし、彫っている最中も手を休めることができるため、時間に縛られません。家の小さなスペースでもやることができるのでお勧めの趣味ですよ」と安達さん。手を動かすことでアルツハイマーの予防にもつながると、七〇代から始める方も多いことが特徴です。
 丁寧な指導が好評で、名古屋市や岐阜県から通う生徒さんもみえます。年に一度開催している、展示会に向けて製作にも力が入ります。
 「仏像には様々な決まりがあります」と安達さん。歴史の中で培われてきた形や決まり事を忠実に真似て、後世につなげていくことが仏師の仕事だと語ります。
無心にそして、丁寧に
 安達さんの生徒の一人で愛西市の「國音山 一心禅寺」の住職・渡邊亮正さんは、数日前に安達さんが納めたばかりの涅槃像(ねはんぞう)を「木目が綺麗に出ていて素晴らしい」と絶賛です。
 仏像を彫るにあたって特に気をつけていることは「何も考えずに彫ること」。仏師自身の気持ちが入った仏様になってしまうと、施主さんが拝んで気持ちを入れる時の妨げになるからだと言います。
 「仏様はさまざまな方が手を合わせて、大切にされるもの。やりがいを感じて丁寧に向き合っていきたい」と安達さん。「今後は、大きな仏様を彫ることができたらと考えています」とこれからの展望を笑顔で語っていました。
 仏像彫刻工房 飛翔
 安達 憲照 さん
 住  所 津島市愛宕町二丁目33-3
 電  話 0567‐26‐4833


 『Dr.inouchi 井内尚樹のシリーズ腕まくり指南 第209回 愛知県内の地方自治体における2015年までの「振興条例」の違いについて(2)』
 中小業者の皆さん、あけましておめでとうございます。「平成」の三〇年がおわり、新しい時代のはじまりです。平和が脅かされ、消費税率のアップなど、中小業者が安心して暮らしにくい日々が続いていますが、営業と暮らしを前に進めていく年にしたいと思います。
 愛知県が二〇一二年に中小企業振興基本条例(以下では「振興条例」とできるだけ略します)を施行した後、二〇一五年までに、「振興条例」を制定したのは、高浜市、安城市、名古屋市、知立市、新城市、大府市、豊明市です。安城市、名古屋市、知立市は中小企業振興基本条例、(大府市は「中小企業の振興で町を元気にする条例」)高浜市は産業振興条例、新城市が地域産業総合振興条例、豊明市が小規模企業振興基本条例となっています。前回に引き続き、愛知県内の地方自治体における中小企業・小規模企業振興条例について考えます。
中小企業振興条例と産業振興条例の違いについて
 中小企業を振興する条例の場合は、大―中―小と企業規模を対象としたものであり、小中大でピラミッド型であり、上下の縦型の条例です。農業、工業、商業、サービス業など産業を対象とする場合、産業は大企業、中小企業の規模は関係ありません。自動車産業といった場合、トヨタ自動車と自動車部品を生産する中小企業は同じ産業分野にあり、企業規模は考慮されません。
 高浜市では「定義」で、「事業者 市内において業として経済活動を行うものをいう」で、新城市では「事業者 市内において産業活動を営む個人または団体をいう」となっています。中小企業振興条例では中小企業基本法の中小企業の定義を適用しています。産業振興条例と違って、中小企業振興条例は、明確に中小企業と大企業とを区別しています。中小業者にとっては、自らの存在を明確に「定義」化されている必要があります。
愛知県内における地方自治体の「振興条例」の違いについて
 「振興条例」の構成は、「前文」で自らの地方自治体の「自然的社会的経済的」な状況を説明し、中小企業の現状と果たしている役割などを説明しています。その次に、中小企業振興する「目的」、中小企業の「定義」、「基本理念」、「市の責務」、「中小企業の責務」、「市の基本施策」等で組立てられています(愛知県の振興条例図参照)。「振興条例」を見ると、一見同じように見えますが、よく見てみると、微妙に違っています。
 前回指摘した、PDCAについてですが、知立市では、「市町の諮問に応じ、中小企業振興施策を調査研究するため、知立市中小企業振興会議を置く」、また新城市では「基本計画の策定及び変更その他地域産業に関する重要事項を協議するため、新城産業自治振興協議会を置く」としています。振興会議の設置まではいたっていませんが、愛知県、名古屋市などは(施策の推進に係る措置)として、「県は、中小企業の振興に関する施策の推進に当たっては、中小企業者等の意見の聴取その他の調査により当該施策の実施の状況を把握し、適時に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」としています。名古屋市の場合、中小企業者等と同じように、「中小企業者、中小企業団体、市民等」の意見の聴取としています。他の地方自治体では、条例を施行したあとのチェックができているのかどうか。地方自治体に聞いてみることが大切です。
 財政措置を見ても、一九七九年の墨田区の中小企業振興条例では区長の責務として「財政その他の措置を講ずること」なっており、区長は区の中小企業振興のための財政措置を講ずることが責務となっています。愛知県、名古屋市、高浜市、安城市、知立市などほとんどの地方自治体において、中小企業の振興に関する施策を実施するため、「必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする」となっており、中小企業施策の実施とそれに裏付けられた財政措置は完全に保証されていません。
 知立市では施策の基本方針で「工事の発注、物品及び役務の調達等に当たり、予算の適正な執行並びに透明かつ公正な競争及び契約の適正な履行の確保に留意しつつ、中小企業者の受注機会の増大に努めること」が書かれています。市に対して、官公需の受注増への、運動根拠が示されています。
 「去年に比べて、どれだけ、官公需比率が中小業者に増大したのか」などをチェックし、官公需を増やしていくこと大切です。「振興条例」を学習し、新しい条項の追加、不十分な点を改善する運動等が求められています。